事故物件（心理的瑕疵物件等）とは？？？

 

不動産取引では、仲介業者等（宅地建物取引業者）には法律により、不動産取引に関する重要な事実について告知義務があります。それゆえ業者が仲介に入っている場合には、基本的に契約成立前に必ず告知されることになります。

売主には法律的に「告知しなければならない」という明確な規定があるわけではないのですが、自殺があったことなど、買い手が嫌悪するような一定の事実については、「建物の瑕疵」に該当し、契約後であっても契約の解除や損害賠償が認められる可能性があります。よって、売主は後に解除や損害賠償されないためには、契約前に告知をしておかなければならないと考えています。

 

実は、最も難しいのが「事故物件であるかどうか」の判断です。 自殺や他殺の事実については、告知義務があるということであまり異論はないと思いますが、単に「その部屋で死亡した」という事実については、評価が分かれるところだと思います。建物に何らかの欠陥があったという場合も、欠陥の程度があまりにも軽いのであれば「告知する必要はない」と考える人もいるでしょう。

また、仮に事故物件と評価されるような事実があったとしても、「何年前のことまで説明しなければならないのか」ということについては、明確な規定はありません。

 

過去の裁判例を見ても画一的な水準は見出すことができず、あくまでも似たようなケースでの判断を参考にするしかありません。このように「何が事故物件にあたるのか」は、はっきりしないケースが多いのが現状です。判断に迷うようなケースでは、「後の紛争を予防する」という観点が重要になると思います。売主側としては、「高く売りたい」との考えから、安易に事実を隠そうとするのではなく、後の紛争を予防するためにきちんと調査を行い、可能な限り「正確な事実の告知を行うこと」を徹底する事が重要です。

買い手側としては、契約の前に、「大事な事実についての告知漏れがないかどうか」ということについて、きちんと売主に確認を求めることが大切になります。