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- 2020/10/03
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~~~今回は不動産売買でなぜ司法書士が必要なのかについてのコラムです~~~
不動産の売買をする時、必ずお世話になるのが司法書士です。「司法書士という名前は聞いたことがあるけど、具体的に何をしている人かはよく分からない」なんて人もいるかもしれませんね。そもそも、不動産売買になぜ司法書士が必要なのでしょうか?
ところで、登記申請の書類は司法書士しか作成できないかというと、そうではありません。
法務省のホームページなどで書類の作成方法が掲載されていますし、
必要な書類もインターネットから入手できます。場合によっては法務局に行って相談して作成することもできます。
誰でも書類を作成できるなら、よけいに「不動産売買になぜ司法書士が必要?」と思いませんか。
これが本稿のテーマになるわけですが、なぜ不動産売買に司法書士が必要なのか、
実際の不動産取引での売主と買主の心理から考えてみましょう。
Aさんは、念願のマイホームを買うためにある不動産会社に行きました。そこで頃合いの2,000万円のマンションを紹介され、満足のゆく物件であったので売買契約を結びました。Aさんは売買契約締結時に手付金の200万円を売主のBさんに渡し、残代金の1,800万円を最終決済時に支払う約束をしました。
このケースで、まずは買主のAさんの心境を考えてみます。一生懸命に貯めたお金で不動産を購入するAさんにとって、2,000万円は決して安い金額ではありません。残代金の1,800万円にしても、きちんと自分に登記名義が移ったことが確認でき、名義を移すのに必要な権利証(または登記識別情報)や印鑑証明書などの書類を預かってからでないと、安心してお金を支払えません。
売主のBさんも同様。手付金の200万円は売買契約時にAさんから受け取ったものの、残りの1,800万円に関しては、全額をAさんから支払われてからでないと、権利証や印鑑証明書などは渡したくない、という心境でしょう。
AさんとBさん、どちらの考えも間違ってはいません。買主には不動産の名義が移らないリスクが、売主には売買代金をもらえないリスクが残りますが、二人ともリスクを負担したくないと思うのは、不動産売買という高額な取引をするにあたっては当然の心理ではないでしょうか。
しかしこれでは、最終取引が成立しません。そこで、司法書士の登場、となるわけです。
司法書士は不動産取引の場で、登記名義を買主に移すのに必要な書類を全て確認し、その上で売買代金を買主から売主に支払ってもらいます。そして支払いが完了したことを確認してから、法務局に登記名義を変更する手続きを申請します。
国家資格を持つ専門家ですから、書類上のミスは認めません。中立な立場の第三者が介在することによって、買主も売主も安心して手続きを進められます。司法書士は、不動産取引を安全かつ円滑に進める、中立な立場の専門家なのです。
上記の例はかなり単純化したものですが、実際には、売主が不動産購入時に銀行から融資を受けていて、売却金で住宅ローンの残金を支払わなければならないケースもあります。その際も司法書士は、住宅ローンを根拠に不動産に付いている抵当権などを抹消する書類を必ず確認します。そして、抵当権を消したまっさらな状態で買主に所有権を移転するのです。
買主が住宅ローンを借りて購入するケースも多いでしょう。金融機関は、購入する不動産に抵当権が確実に設定できることを確認してからでないと、お金を貸しません。そこで司法書士が事前に確認して、金融機関に融資を実行してもらうのです。金融機関としても、専門家である司法書士の介在が必要なのです。
ちなみに、取引の場で司法書士に対しても「お金を支払われてからでないと権利証は渡さぬ」という売主もたまにいます。そのような時も司法書士はあわてることなく「では、権利証の確認だけさせてください。確認できたらお返しします。そして、代金の支払いをご自身で確認できたら権利証を預からせてもらいます」と言うでしょう。
司法書士にもいろいろな人がいますが、きちんとした司法書士ならば、最終代金の受け渡しが終わるまで、権利証などの必要な書類は机の上に見えるように置いています。「ここに間違いなく、大切な書類はあります」「仮に成立しなければ速やかにご返却します」というサインです。そして領収書のやりとりなどで売買代金の移動を確認して初めて、書類を片付けるのです。
一口に不動産の売買といっても、取引の対象となる不動産には歴史があり、そして売買の当事者となる売主と買主にもそれぞれ事情があります。この世に全く同じ不動産取引というのはありません。そして高額な取引であるからこそ、高度な専門性を有する司法書士という専門家が必要になってくるのです。
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